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ネット管理の株やFX、電子マネーや仮想通貨 デジタル資産相続のポイント 放置したら納税漏れも:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞

 スマートフォンに限らず、パソコンやタブレットも1人1台の時代を迎え、こうしたデジタル機器で管理、運用する資産「デジタル資産」の利用が広がっています。一方で利用拡大に伴い、資産相続上のトラブルや不安の声も目立ち始めました。デジタル資産を相続する際、陥りがちな問題や対処法は何か。今からどんな備えをしておくべきか。札幌弁護士会の小林令弁護士に聞きました。(聞き手 中秋良太)


――そもそもデジタル資産とは、どんな資産ですか?

 一般的には、ネット銀行の預金や外国為替証拠金取引(FX)、暗号資産(仮想通貨)、電子マネーなど、インターネット上で扱う資産を指します。電子メールや会員制交流サイト(SNS)のアカウント、動画や写真のデータも該当する可能性があります。

――非常に種類が多いですね。

 加えて、デジタル資産の管理に使うパソコンやスマホ、USBメモリといったデジタル機器も一種のデジタル資産と呼べるでしょう。法律上の定義はないのが現状です。

――デジタル資産は種類にかかわらず全て相続できるのですか?

 財産的な価値があるかどうかなどを基に、個別に判断することになりますが、大半は相続できると考えられます。民法で、個人の権利や義務は、原則全てが相続の対象と定められているからです。例えば、ネット銀行の預金やFX口座の残高は、亡くなった人が権利を持っていた財産として、相続の対象になるでしょう。電子マネーも本を正せば故人の現金であり、残高を相続できるはずです。仮想通貨も基本的には相続の対象に含まれると思います。

――相続できないものもあるのですか?

 本人だけが利用でき、死亡により消滅するとされる権利や、本人が果たさないと意味がない義務は相続の対象外となります。デジタル資産も、種類や内容によっては相続できない可能性があります。

――相続の対象外になりそうなデジタル資産とは。

 例えば、クレジットカードの利用時にたまるマイルやポイントが挙げられます。電子マネーと同様、現金代わりに使えますが、カード会社が所有者に提供するサービスの意味合いが強い。あくまでカード所有者を対象としたサービスである以上、相続できない可能性が高いでしょう。お店を利用すると点数がたまるポイントカードも同様です。実際には利用規約に従って相続の可否が判断されるため、一度規約の確認をお勧めします。

――相続する際にはどんなトラブルが想定されますか?

 家族が直面する最大の問題は、資産の把握です。相続の手続きを進めるには、まず故人がどんな資産を持っているか把握する必要があります。しかしデジタル資産は大半がデジタル機器やネットの中にデータとして保管されており、目に見えにくい。そもそもどこにどんな資産があるか、見つけ出すこと自体が困難と言えます。

――把握には、故人が使っていたパソコンやスマホを調べる必要がありそうですね。

 そうです。しかし大抵のパソコンやスマホはパスワードを入力する必要があり、他人には容易に開けない。仮に開けたとして、すぐ資産を把握できるとも限りません。株式やFXなどネット上の取引の場合、故人がどんな取引を、どの証券会社を通じて行っていたか特定した上で、会社に問い合わせたり、会社のサイトに故人のIDやパスワードを入力したりして、やっと利用状況を確かめられるからです。

■放置すれば納税漏れも

――手間も時間もかかりそうです。探しても資産が見つかるとは限らないし、あまり多額でなさそうなら放置するという手もあるのでは。

 それは危険です。資産の受け取りに目が向きがちですが、借金などお金を支払う義務も相続の対象です。FXなどネット上の取引で得たデジタル資産は、現金と違って資産の価値が頻繁に上下します。放置すると、知らないうちに多額の損失が発生し、家族が穴埋めの出費を求められるかもしれません。他にも定額料金のネットサービスに気付かず、口座から料金の引き落としが続いてしまう事態もあり得ます。仮想通貨も相続税の課税対象とされており、放置すれば納税漏れにつながってしまう。早期に把握し、相続の手続きを進める必要があります。

――でも、目に見えにくいデジタル資産をどうやって調べたらいいのでしょうか。自分で故人のパソコンやスマホを調べるのが難しいこともあると思います。

 やむを得ない場合、専門業者に依頼するという方法はあります。機器内の情報を回収し、分析する技術「デジタルフォレンジック」を扱う業者なら、機器のパスワードを解除してくれます。相応の料金がかかり、失敗してデータが失われるリスクも否定できませんが、解除出来れば自分でネットの履歴やメールの内容から資産を調べられる。資産の調査まで請け負う業者もあるようです。

――自分たちでできることはありますか。

 まずは金融機関の口座の確認が有効でしょう。出入金記録を見て、故人がどんな業者とお金のやりとりをしていたのか分かれば、資産把握のきっかけになります。自宅に保管してある請求書や契約書、クレジットカードの利用明細にもヒントが残されているかもしれません。故人の生前の会話や行動を思い出すことで、何か手がかりを得られる可能性もあります。現金や貴金属のように、簡単に見つかる形で残っているとは限らないので、さまざまな予想を働かせる必要があるでしょう。

■事前の準備が大事

――どんな方法で探すにせよ、デジタル資産の相続は大変そうですね。

 従来の相続以上に、時間と労力の必要な作業です。だからこそ、直面してから慌てたり、大変な思いをしたりせずに済むよう、事前に準備しておくことが大切です。

――どんな準備をしておくといいのでしょう。

 まず資産を渡す側は、自分の資産に関する資料を残すことです。遺言書の作成が確実ですが、紙に書き留めたり、USBメモリに記録したりしてもいい。自身が亡くなった後、家族に分かりやすく伝わる方法で残すことが大切です。内容はどんな取引をしていたのか、取引に必要なパスワードやID、利用しているネットサービスなど、金銭に関わる情報です。日ごろから資産や相続に関して、家族内でコミュニケーションを取っておくことも重要でしょう。

――相続する側は何をすればいいですか。

 やはり日ごろからコミュニケーションを取り、資産運用の有無や、いざという時に資産を把握する方法を確認しておくことです。将来の相続に備え、あらかじめ弁護士に相談しておくのもいい方法だと思います。

――分かりました。デジタル資産の相続問題は、今後さらに注目されそうですね。

 現状、相続の対象になるのは現金や預貯金、不動産や車、生命保険など従来と変わらない品目が中心です。資産を渡す側は高齢の方が多く、デジタル資産を持っている人が少ないため、相続が必要な事例も比較的少ないのでしょう。しかしネット上での資産運用の注目は高まり、キャッシュレス化も進んでいる。今後、相続に苦慮する事例が増えると予想されます。今から準備しておくことが肝要です。弁護士も、相談者からの聞き取りを工夫するなど、資産の漏れを防ぐ努力が求められると思います。

 <小林令(こばやし・つかさ)弁護士> 渡島管内七飯町出身。中央大法学部、北大法科大学院を経て、2013年に札幌弁護士会に弁護士登録した。同年から札幌総合法律事務所に所属し、相続のほか、借金や離婚の問題など民事、家事事件を中心に手がける。趣味は読書と運動。特にサッカーは小学校時代から続け、札幌弁護士会サッカー部の主将を務めている。33歳。

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June 12, 2020 at 09:30AM
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