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カッコよすぎる中古の在庫車写真が話題 ワクワク感を大切にした撮影 - livedoor

 インターネットが普及し、納車までクルマを見ないまま、日本中どこの販売店からもクルマが購入できる時代。中古車情報サイトに掲載された車のほとんどは、店先で車の“フロント斜め前から”撮影した写真を使って利用者に情報を発信している。埼玉県入間郡毛呂山町にある中古車販売店「オートサロンイイダ」は、この“在庫車写真”にひと工夫。山のなかや、夜など、ロケ場所やシチュエーションを変えて、新車のカタログのような雰囲気の写真を掲載。SNSで「カッコよすぎる」とすぎると話題となっている。なぜこのような写真を撮影し、掲載したのか?同店に話を聞いた。

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■ “愛車に乗る”と感じられる写真にしたい

 中古車の写真は通常、購入を検討している人に“情報”を届けるためツール。店の前で斜め前から撮ったものをメインに、傷の有無や、内外装の状態や傷んでいる箇所など、情報として撮影された“無機質な写真”が並ぶことが圧倒的に多い。

 だが、オートサロンイイダの飯田裕樹店長は、車に合わせて背景やアングルを変え、大手メーカーの新車カタログやCMを彷彿とさせるような、動きのある凝った写真を撮影し、中古車サイトにも掲載。異彩を放っている。このような写真を撮影するようになったのは、今から5〜6年前、在庫車情報を発信する媒体が雑誌からネットに切り替わり始めた頃だった。

「どうせなら、掲載する写真は自分が楽しみながら撮影したいと思い、以前から興味のあった一眼レフカメラなどの機材を購入して、“車に乗る”というより“愛車に乗る”と感じられる写真を撮ろうと考えました。愛車とは、思わぬ出会いや感動を与えてくれる素敵な存在です。ただの移動手段に過ぎない“車”であれば、メーカーは一様に同じ車を作るでしょうが、みんなそれぞれデザインされています。特に運転席周りなどは本当に洗練されています。お気に入りの“愛車”であれば、きっと座席からいろいろな景色を見せてくれるはずですから、そういう写真を撮りたいと思ったんです」

■情報を羅列しただけの中古車サイトは5分で飽きる

 オートサロンイイダは、「クルマのことならなんでも」をモットーに今から約18年前、クルマ好きだった父親が創業した“町の小さなクルマ屋さん”。自身もクルマが好きで、ディーラー販売店勤務を経験した後、父親の店を手伝い始めたという。

「親子してスポーツカーが好きなので、シビックやロードスターなど、在庫車にはその傾向が出ていると思います」と語る一方で、「田んぼが多い地域柄、軽トラックの需要も高い」と飯田氏。凝った写真を撮り始めた当初は、「『軽トラを一眼レフで撮っている人、初めて見た!』と言われました。懐かしい思い出です」と軽快に笑う。

 そんな飯田氏の思いが込められた写真たちが「この店、撮り方凝りすぎ」「写真が素敵すぎて買いたくなる」というコメントとともにSNSで取り上げられたところ、「クルマたちが生き生きしている!」「こんなお店だったらクルマ買ってもいい」など1万3000もの“いいね”が殺到。実際に写真に惹かれてこの店で購入した人も現れるなど、話題となった。

 中でも多いのが「(撮影者が)クルマ好きなのが伝わってくる」という感想。それが的確な指摘であることは、とくに反響が大きかったマツダロードスターの写真についての、飯田氏のこんな発言に表れている。

「ロードスターは正面から撮るととてもかわいらしく癒やし系なお顔ですが、硬派なイメージで撮ったらどうなるかなと。そんなふうに実験を重ねて撮った写真は反響が大きいですね」

 構図だけでなく、陰影やぼかしなども巧みに活用。「大手家電メーカーの冷蔵庫のHPなどを見て、参考にしている」という。

 そのこだわりから、中には車の外観の一部しか写っていなかったり、車が一切写っていないイメージ写真も。中古車販売サイトの場合、クルマの状態がリアルにわかることが求められるだけに、“情報としての写真”に特化したほうがいいと考えるのが普通だが……。

「もちろん、それもいいと思います。ただ、整然と情報を羅列したのでは、せいぜい5分もスマホを見ていれば飽きてしまいます。サイトで将来の愛車となるクルマを探すとか、クルマを眺めるという行為は、クルマ選びの大きな楽しみです。何を買おうとか、どれがいいかなぁとか、こういうカスタムにしたらきっと……とか、どれも期待に満ちています。そのワクワク感を大切に、もっとワクワクさせられないかなと考えていたら、今のような形になっていました(笑)」

 それはドアノブやシート、ハンドルなどの部分写真でも同じ。

「わかりやすくを一番に心がけていますが、無難な構図、安心する構図ばかりだと飽きてしまうので、たまに不安定な構図を入れたり、ぼかしや陰影を取り入れたりして、工夫しています」

 もちろん、得たい情報をきちんと押さえることも忘れない。

「写真がきっかけで購入を決めてくれたり、来店いただいたりすることが多く、うれしい反面、期待が大きいと感じているので、ガッカリさせてしまうことがないよう、傷やサビ、下回りの状態など、“中古車あるある”のマイナスポイントもしっかり写真で伝えるようにしています」

■愛情を持って撮ればクルマは表情を見せてくれる

「今まで500台は撮ってきた」という飯田氏。1台の撮影にかける時間は、およそ1時間半というところからも車への愛情がうかがえる。撮影スポットは、「そのクルマで実際にドライブしながら、交通の邪魔にならなそうな、いい感じの背景の場所に決めている」そう。店のある埼玉県入間郡毛呂山は、奥武蔵の山々の麓に広がる豊かな自然に包まれた田舎町だけに、ドライブ熱をくすぐられるような写真が多いのが特徴だ。

「最初は、もっと都会で、お洒落なカフェ沿いとかで撮りたかったというのが本音です(笑)。でも、まさにドライブって感じの写真が撮りやすいので、そういう写真が多くなっています。今、もう少し欲しいのは、背景に雄大な山脈を置いた写真ですね。富士山とか。あと、海も欲しいですし、雪の中をドリフトする軽トラックも撮ってみたいです!(笑)」

 さらに壮大な構想を描いている飯田氏だが、現在、中古車市場で主流となっている、いわゆるありきたりな従来の写真について、どう見ているのだろう。恐る恐る聞いてみると、やはりクルマ愛に溢れたこんな答えが返ってきた。

「中古車は色、年式、走行距離、グレード、みんな違います。良いところもあれば、当然、悪いところもあります。決してカッコよくはなくても、映えていなくても、しっかり愛情を持って撮影してあげたら、クルマも表情を見せてくれる気がしますし、見ている人にも伝わると思います。
 ただ、ヘッドライトが白く写ってしまっている写真が多くみられるのは気になります。経年劣化で白く黄色くなってしまうのもあるのですが、撮影する前に磨いたり、カメラの露出設定で白く飛ばないように気をつけながら撮ると、古く見えずに済むのでおススメです!」

 そんな飯田氏にクルマに興味を持つ読者に向けてメッセージをお願いすると……。

「すべての人に“車”ではなく、“愛車”に乗ってもらいたく思っています。傷が付いたって、故障したっていいじゃないですか。人間だって風邪をひきます。一緒に歩んで、一緒に写真を撮って、撮った写真を部屋に飾ってほしいと願います。仕事を終えて家に帰ったとき、その写真を見た瞬間、また頑張ろうって思えるし、きっと愛車への愛着が増し、撮った写真は10年後20年後、もっともっと大切なものになります。“愛車”の価値はそこにあると思っています。撮影はスマホのカメラで十分です。『あ! 懐かしい。このとき乗っていたクルマ、良かったな〜』なんて思える写真が一枚でもみなさんの手元に残れば、私の作戦は大成功です」。

 一台の車に30年乗り続ける女優のニュースが話題となるなど、消費社会のなかで、“いいものを長く使う”ことが見直され始めている昨今。“スタイリッシュ中古車写真”はそんな、愛着のある一台を見つけるきっかけになっているのかもしれない。

文/河上いつ子

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November 23, 2020 at 05:30AM
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