
かつてソビエトを構成していたタジキスタンは、中国やアフガニスタンとも接する中央アジアの国で、人口およそ1010万です。
ソビエト崩壊後に起きた内戦などの影響で経済は著しく悪化し、世界銀行によりますと、おととしの1人当たりのGDP=国内総生産はおよそ1054ドルと、中央アジア5か国の中で最も貧しいとされています。
経済や軍事面でロシアへの依存度が高く、移民や避難民を支援するIOM=国際移住機関などによりますと、GDPのおよそ3分の1を海外送金に頼っていますが、2021年の統計では、このうちおよそ58%がロシアに出稼ぎに行った労働者からの海外送金だったということです。
アフガニスタンとはおよそ1400キロの長い国境線で接していて、アフガニスタン国内に多数のタジキスタン系住民が暮らしていることなどから、2国間の関係性は強く、武器や麻薬などの流入の問題が深刻だということです。
2015年には、タジキスタンの治安機関の元司令官が過激派組織IS=イスラミックステートに参加すると公言して亡命したほか、タジキスタン国家保安委員会の副議長が2018年11月、国民のおよそ1900人がシリアやイラクでの紛争に参加していると明らかにし、多くのタジキスタン人がISに加わり、その影響が中央アジアに拡大するおそれがあるとして、懸念を示していました。
2019年5月に発生したタジキスタンの首都ドゥシャンベ近郊の刑務所での暴動について、タジキスタン治安当局は、収監されていたISのメンバーが扇動したと指摘しています。
こうした中でロシアは、アフガニスタンの国境近くでタジキスタンなどと合同で軍事演習を実施したり、プーチン大統領が中央アジア諸国の首脳とたびたび会談を行い、イスラム過激派の脅威に対する対策も話し合ってきました。
プーチン大統領は去年10月にはキルギスを訪問し、ロシア軍が駐留する首都ビシケク郊外のカント空軍基地で行った演説で「ロシア軍は中央アジア全体にも安全と安定をもたらし、テロなどの脅威に大いに貢献してきた」と強調していました。
ただ、ロシアは、軍や治安機関の要員の多くを軍事侵攻を続けるウクライナに振り向けています。
また、侵攻が長期化する中で、これまで勢力圏とみなしてきた中央アジアでロシアの影響力が弱まっているとも指摘されています。
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